蕨市 公明党 埼玉県蕨市中央5-14-15

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平成27年 蕨市議会基本条例
前文

 第1章 総則(第1条・第2条)
 第2章 議会、議長及び議員の活動原則等(第3条−第5条)
 第3章 市民と議会との関係(第6条−第8条)
 第4章 議会と市長等との関係(第9条−第13条)
 第5章 自由討議の保障(第14条)
 第6章 委員会の活動(第15条−第17条)
 第7章 政務活動費(第18条)
 第8章 議会の権能の強化(第19条−第24条)
 第9章 議員の政治倫理、定数及び待遇(第25条−第27条)
 第10章 危機管理(第28条)
 第11章 最高規範性、見直し手続及び議会改革の推進(第29条−第31条)
 第12章 雑則(第32条)


附則

蕨市議会は、日本国憲法に規定された国民主権、地方自治の本旨に基づき、市民の負託を受けて活動する市民の代表機関・議事機関であり、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映することが求められている。また、蕨市議会は、二元代表制の下で、市長等執行機関と健全な緊張関係を保ちながら行政の監視、政策提案、条例の制定、予算の議決及び決算の認定等を通じて政策を形成し、市民の生活向上と福祉の充実を図る役割と責任を担っている。

近年、地方分権の進展により、市民の意思を集約・調整し、政策を形成する地方議会本来の役割はその重要性を増している。さらには、国民世論の変化もあり、地方議会の一層の透明性や説明責任を求める声が高まっている。

蕨市議会は、議会改革に関する協議を重ねた結果、議事機関としての特性を十分に活かし、自らの創意と工夫によって市民との協調の下、蕨市のまちづくりを推進していく必要性を再認識した。あわせて、蕨市議会の透明性を確保することにより、市民に開かれた議会、市民参加を推進する議会を目指し、市政の執行を監視及び評価をし、市民本位の政策立案や政策提言を行っていかなければならない。

蕨市議会は、市民による自治の実現を目指し、主権は市民にあることを常に自覚し、不断の議会改革を進めることを決意し、ここに蕨市議会基本条例を定める。


第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、蕨市議会(以下「議会」という。)が市民の負託に応えるために、その運営の基本を明らかにし、議会と市民との関係並びに議会と市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係における基本的事項を定めることにより、議会の果たすべき役割及び責任を明確にするとともに、憲法に定める地方自治の本旨の実現、市民福祉の向上及び公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の役割)
第2条 議会は、市民の代表から構成される市の団体意思の決定機関である。
議会は、条例の制定、予算の議決及び決算の認定並びに行政活動を監視する権限を有する市の議事機関である。


第2章 議会、議長及び議員の活動原則等

(議会及び議長の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 公正性、透明性及び信頼性を重視する議会運営を目指すこと。
(2) 議決責任を深く認識し、市民に対して積極的な情報公開に取り組むとともに、説明責任を果たすこと。
(3) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための議会運営に努めること。
(4) 議会内での申合せ事項は、不断に見直しを行うこと。

議長は、議会を代表し、公正で民主的かつ公平な立場において職務を行い、効率的な議会運営を行わなければならない。

(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 市民福祉の向上を目指して活動すること。



(会派)
第5条 議会の会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。


第3章 市民と議会との関係

(市民参加及び市民との連携)
第6条 議会は、本会議のほか、常任委員会及び特別委員会を原則公開するとともに、議会の活動に関する情報公開に努めるものとする。
議会は、議会だより編集委員会及び全員協議会の議事内容につき、その概要を公開するよう努めるものとする。
議会は、常任委員会及び特別委員会の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。
議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置付けるとともに、その審査においては、これら提案者の意見を聴く機会を原則設けるものとする。
議会は、市民との意見交換の場を設け、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
議会は、議案に対する各会派及び会派に属さない議員の表決態度を公表する等、議員の活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

(議会報告会)
第7条 議会は、議員出席の下に市民に対する議会報告会を少なくとも年1回開催し、市民の意見を聴取し、議会運営の改善及び市民福祉の向上を図るものとする。

(意見募集)
第8条 議会は、パブリック・コメントを実施することができる。


第4章 議会と市長等との関係

(議員と市長等との関係)
第9条 議会審議における議員と市長等との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするよう努めなければならない。
(2) 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質疑・質問の趣旨を確認することができる。
(3) 議員は、閉会中において、議長の許可を得て市長等に対して文書質問を行うことができる。この場合において、市長等から文書にて回答を求めるものとする。


(議会審議における論点の整理及び予算、決算等における政策説明)
第10条 議会は、市長等が提案する重要な政策について、論点を整理し、その政策水準を高めることに資するため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。
(1) 政策の背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 関係する法令、条例等
(5) 蕨市将来構想及び実現計画における根拠又は位置付け
(6) 予算

議会は、予算、決算等の議会審議に際し、市長等に対して分かりやすい施策別又は事業別の説明及び資料の提出を求めることができる。

(市長等への説明及び資料要求)
第11条 議員は、市長等に対して、議長を経て、説明及び資料の提出を求めることができる。
市長等は、前条の内容と併せて、これらの要求に対して誠実に対応するよう努めるものとする。

(議決事件の拡大)
第12条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の議会の議決事件については、代表機関である議会が、市政における重要な計画等の決定に参画する観点と同じく代表機関である市長の政策執行上の必要性を比較考量の上、その拡大に努めるものとする。

(代表質問)
第13条 議会は、当初予算案を審議する議会において、一般会計当初予算案及び市政全体にわたり、代表質問を実施することができる。


第5章 自由討議の保障

(議会の合意形成)
第14条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を推進し、多様な意見を出し合った上で合意形成に努めるものとする。


第6章 委員会の活動

(委員会の運営)
第15条 委員会の委員長及び副委員長は、市民の要請に応えるために、所管委員会に係る市政の課題に対して、常に問題意識を有し委員会を運営するよう努めなければならない。
委員会においては、議案の審査のみならず、市政の諸課題につき広く調査研究し、市長等に提言するよう努めるものとする。

(予算及び決算常任委員会)
第16条 議会は、予算及び決算の審査のため、常任委員会を設置することができる。

(議会運営委員会)
第17条 議会運営についての協議は、主として議会運営委員会において行うものとする。


第7章 政務活動費

(政務活動費の目的及び交付)
第18条 政務活動費は、蕨市議会議員の調査研究その他の活動に資することを目的に交付するものとする。
政務活動費は、蕨市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年蕨市条例第5号)に基づき会派に対して交付するものとする。


第8章 議会の権能の強化

(議員研修の充実強化)
第19条 議会は、市政発展のため、議員の政策形成に資することを目的に、議員研修の充実に努めるものとする。
議会は、市民、学識経験者等との議員研修会を開くことができる。
議会及び議員は、市政の課題を広い視点から捉えるため、他の自治体の事例等を調査研究するよう努めるものとする。


(附属機関の設置)
第20条 議会は、議会活動に関し、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、附属機関を設置することができる。

(議会広報の充実)
第21条 議会は、市政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に市民に対して周知するよう努めるものとする。
議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会及び市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
前2項に係る事項については、議会だより編集委員会にて所管するものとする。

(予算の確保)
第22条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実させるため、必要な予算の確保に努めるものとする。
議会は、市長が編成する予算案中、議会費に係る要求に際して、その内容を議会運営委員会に諮るものとする。

(議会図書室の設置及び拡充)
第23条 議会は、議会図書室を設置するとともに、設置図書等の充実に努めなければならない。

(議会事務局の体制整備)
第24条 議会は、議会及び議員の政策形成・立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能を積極的に強化する。ただし、当分の間は、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するものとする。
議長は、議会事務局の職員人事について、二元代表制の趣旨を踏まえ、市長等に要請するものとする。


第9章 議員の政治倫理、定数及び待遇

(議員の政治倫理)
第25条 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを自覚し、市民の負託に応えるため、各自の政治信条を遵守し、市民の代表として良心及び責任感を持ち、議員の品位を保持し、見識を養うように努めなければならない。

(議員定数)
第26条 議員定数は、蕨市議会議員の定数条例(昭和37年蕨市条例第22号)で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

(議員報酬)
第27条 議員報酬は、蕨市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和32年蕨市条例第16号)で定める。
議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。


第10章 危機管理

(危機管理体制の整備)
第28条 議会は、災害等の不測の事態から市民の生命、身体、財産及び生活の平穏を守るとともに、緊急時において総合的かつ機能的に活動できるよう市長等と協力し、危機管理体制の整備に努めるものとする。


第11章 最高規範性、見直し手続及び議会改革の推進

(最高規範性)
第29条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の規定に反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。

(見直し手続)
第30条 議会は、一般選挙を経た任期開始後又は必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
議会は、前項の規定による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じ、改正の際には本会議において、その理由及び背景を詳しく説明するものとする。

(議会改革の推進)
第31条 議会は、議会改革の取組を不断に検証し、その推進に当たらなければならない。


第12章 雑則

(委任)
第32条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。


附則

この条例は、公布の日から施行する。