本予算案については、おおむね異論はないものの、第2款総務費、第1項総務管理費、第10目コミュニティ活動促進費における「ポスト・コロナ町会活動再開支援事業補助金」及び「タブレット端末の貸与事業」について疑義がある。
長引くコロナ禍において、町会活動が行えず、停滞していたことは認識するところであり、コミュニティ活動を再開するに当たり、町会活動を活性化させるための支援の必要性は、私どもも申し述べてきたところであるが、同事業費に関しては、町会の規模にかかわらず一律であることを疑問視する市民の声もある。
特に、「ポスト・コロナ町会活動再開支援事業補助金」について、当初の説明では、曖昧で誤解を招きかねないような使途基準についての説明がされていた。例えば、町会バス旅行等の開催経費の一部に充てることもできるという説明であったが、これは町会内の一部の方が自由に補助金を使っているともとられかねず、町会内で混乱が生じる恐れがあると考える。
町会の運営の在りようは様々であるが、コロナ禍からの活動再開への第一歩は、動き始めのサポートが重要と考えており、ポスト・コロナにおける町会の運営方法や新しい町会の体制、市との関わり方、町会のスタンスなどについて不安に感じている町会の声に寄りそうことが重要だと考える。30万円の補助金を否定しているのではなく、広く効果が現れるよう明確な使途基準が必要であり、事業実施後にはしっかりとした検証も行われるべきである。
なお、当初予算案の議決前にもかかわらず町会掲示板に同事業についての案内掲示を誤って依頼したり、議会審議前の2月に町会長に事業案とはいえ、あたかも同事業が実施されるかのような案内がされていたということが市民から資料と共に情報提供されたところである。こうした対応は極めて遺憾であり、議会に対して真摯に向き合う姿勢を求めるところである。
また、「タブレット端末の貸与事業」に関しては、貸与後の活用計画が明確ではなく、さらに丁寧な対応が必要であるとともに、市民DXの一環の事業であるというならば、スマートフォンなどを活用した電話連絡システムを含め、町会の新しい連絡方法を考えることも必要なのではないかと考える。さらに、タブレット端末を町会で管理していくことについては、その保管方法や個人的な使用の可否など、使途管理基準が明確となっていない。
以上の点から、次の事項について履行するよう求めるものである。
- 「ポスト・コロナ町会活動再開支援事業補助金」及び「タブレット端末の貸与事業」については、町会との十分な協議を行うこと。
- 使途基準を明確にすること。
- 1・2の結果を議会に対して報告したうえで予算執行すること。
以上、決議する。令和5年3月23日、蕨市議会議長 保 谷 武